Go >> gallery/talk This Month
Go >> Backnumber Index
 
   No.20・ August 2002
 

"un canaletto"
<< 小さな水路>>

ed.16,31cmX21cm,
lithograph ,1999

このサイトやコーナーの意見・感想を送る

8月1日(木)

 今月からプロバイダの都合により、サイトを引っ越ししました。それに伴い、サイトのタイトルを「fantafonte(ファンタフォンテ)」と名付けてみました。例によってイタリア語ですがfantaというのは、空想のという意味の接頭語、フォンテは泉という意味です。今までの作品にもいろいろな泉というか池というか水たまりのようなモノが登場してきましたが、砂漠でオアシスが貴重なように、私の「地図」の中でも重要ポイントなので、屋号(?)にしてみました。

 そんなわけで、記念の引っ越しリニューアル第一弾は、泉モノの登場です。リトグラフに木版画を併用しはじめた頃の作品で、紙はいつも使っているのとは違う西の内という和紙に摺ってみました。web画像では風合いまではお伝えできませんが、ちょっと落ち着いた感じがすると思います。(つづく)


8月10日(土)

 近くの荒物屋で釘を買っていたら、「ヨシズないかしら」とご婦人がお店のおじさんに聞いていた。「もう一週間もすれば、夏も終わりだからね。もうないなあ。」とのこと。そうか!この暑さもあと一息なのだ!と励まされる思いでひとりうなずいていました。荒物屋といえば、小さい頃のあこがれの職業のひとつだったなあ。昔近所に背中が直角にまがったおばーちゃんと猫がやってるミッキーさんという小さな荒物屋があって(ジャポニカ学習帳のとなりに、まだ黄色かったママレモンがおいてあるような感じ。)なぜか憧れていました。

 今月の作品は技法的にもその夏に仕入れたリダクション(彫り進み法)木版画で、内容的にもその夏のイタリアでみた教会の地下にある水たまり(ちょうど去年の8月のギャラリートーク参照。# 08 corrente)の強烈な印象が残っています。それをもっと抽象化というか再構成というかんじです。と、自分でも久々にcorrenteのページを読んでみると、もう少し涼し気な作品を作ろう、と書いてあった。あいかわらず黄色は多出してるものの、最近は水色がお気に入りなので、多少は脳の片隅にインプットされていた模様。本人はすっかり忘れていたけど・・。(つづく)


8月19日(月)

 お盆休みに、庭園美術館の「ソニア・ドローネ」展にいってきました。庭園美術館に行ったのが初めてだったので楽しかったです。展覧会も私の好きな「色柄もの」で楽しかった!あのトランプほしかったなあ。曇りがちで暑くなかったので、庭園内のねこさんも気持ちよくお昼寝していました。

自分で作品を作っていて、たしかに頭の中のイメージを個々の形に託していくわけだけれども、たとえばこの丸い形が何々を示している、という訳ではありません。そう説明してもらった方が安心する(?)方がいらっしゃるのも事実ですが。でも、ソニア・ドローネ展のキャプションもそうだったのですが、「この何色と何色が○○を示して、それがこの形とつながることで、△△という事を表している」なんて書いてありますよね。なんで作った本人じゃないのにわかるんだろう?と思うのだけど。そもそも「これは○○、それは△△」って単純なものではないと思うしなあ。しかし、美術評論家やキュレイターの方たちにはそこを解読できる回路があるから、特有の楽しみ方ができるのだろうか。

 私も、作品を見た方に「これは何を描いてるんですか?」と聞かれると、やはりできるだけお答えしようと思うけれども、「これは池ですか?じゃここが地面なんですね」とか言われちゃうとちょっと脱力してしまったりします。もちろん、どう感じるかはひとそれぞれ自由だけれども、自由だからこそ、もっとどんどんご自身の中で作品からうけた印象を勝手に(?)増幅して楽しんでいただくのもうれしかったりします。(つづく)    


8月25日(日)

 そろそろ秋の個展の案内状制作にとりかかる頃です。最近はデータ入稿がおおいので、写真の取込み以外は自分でやってしまうのですが、フォントを代えてみたり、あっちこっち配置をずらしてみたり、デザイナーをしていた頃はさっさとかたづけていたものの、やっぱり自分のこととなると(?)、うろうろとしています。

 前回のつづき。作品がいわんとしていることを知るについてですが、たとえば、映画「ショーシャンクの空に」で、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」のなかのアリアが流れるシーンがあります。刑務所の中庭で「なんて美しい歌なんだろう。何を歌っているかはわからないけど、きっとすばらしいことを言っているに違いない」と思いながら聞き入る囚人のひとり。しかし、これは、伯爵の浮気をこらしめようとする伯爵婦人と女中が画策して嘘の手紙を書くシーンの歌なのでした。私も映画でこの歌をきいて(たしかにあの映画の中で聞くと本当によいのだ)CDまで買っちゃったのですが、そういうわけだったのです。これと、美術作品とはまた違うのかもしれないけれども、でも歌の内容を知ったところで、やっぱり最初にうけた印象はもう消えないです。ほんとにふしぎな感じがします。