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   No.29・MAY 2003

"CIRCOLAZIONE" <<めぐるもの>> =部分=

ed.10, 53cmX80cm, lithograph and woodcut, 2002

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5月1日(木)

 ゴールデン・ウイークいかがお過ごしでしょう?と一昨日と同じことを言ってみる。明日は、名古屋に知り合いの人の個展を見に行くことになっています。日帰りといっても「旅」なので、楽しみです。味噌煮込みうどんも食べなくては。と、はじめて降り立つ名古屋の地にちょっと浮かれ気味かもしれない。

 今月は、緑の濃さが目につく季節なので、黄緑色の作品をさがしていたのだけれども、この作品になりました。わりと(私の作品の中では)大きめです。先月も、これと同じ大きさの作品を作ったばかりです。今月はちっちゃい作品を作りつつも、また大きいのを作る予定です。(たぶん)。ついでにいうと、最近丸いもの(「わっか」状のもの)が好きで、よく作品に登場しています。先月の作品の頃はやはり、同じようなモチーフがでてきたけれど(葉っぱとか)。今はわっかです。なぜでしょう?ということについて今月は考えてみたいと思います。(つづく)


5月6日(火)

 先週ちょこっと書いたとおり、名古屋にいってきました。もちろん目的はこのページでもたびたび紹介するカレン・クンクさんというアメリカ人版画家の方の個展&オープニングに行くためでした。ギャラリーAPAというところで25日(日)まで開催中。お近くの方は是非みてみてください。他にも市立美術館でフランク・ステラ展などいくつか展覧会をみました。一言コメントをBBSにのせました。

 ところでカレンさんの作品はこういうのです。展覧会のは近作ばかりなのでまたちょっと違う感じですが。私のここ数年の作品はリトグラフに木版も取り入れていますが、木版は彫り進み法(リダクション・プリント)という一枚の版木を彫っては刷り、彫っては刷りという方法です。で、その方法を教えてもらったのがこのカレンさんです。カレンさんは木版のみですが、版木を2枚使って、その彫り進み方がとっても、複雑で色もカラフルで、すっっっごくキレイです。もともと何かの版画展のカタログで作品をはじめてみて、とても気に入ったのです。のちに、イタリア好きの私なので「今年の夏休みはイタリア行きたいなー」と思い、別にイタリア行ってまで版画作るつもりは全くなかったのですが、たまたま彼の地の版画工房をネットで検索していたら、カレン・クンクさんによる木版画ワークショップ@フィレンツェというのを見つけたのです。それはもう、フルーツクリーム白玉みつ豆のスケールのごとく『好きなものがたくさんはいっている』状態でした。で、いろいろ問題はあったのですが、結局無事参加することができて、とっても実り多い一ヶ月をすごし、今に至る、というわけです。まず作品自体がとても好きな上に(ビジュアル的にもコンセプト的にも)、技法的に木版画にとっては大変勉強になる作品です。実物をゆっくりみるのは、ワークショップ以来(つまり2度目)だったので、本当に食い入るように見てきました。私ももっともっともっと(の10倍ぐらい)がんばらないと、と思いました。


5月13日(火)

 日曜日に、日本橋三越のギャラリーで舟越桂版画展をみました。もちろん、版への描画だけが作家の手によるもので刷りは刷り師さんが作っているのですが、タマリンドというアメリカのリトグラフ専門版画工房で刷られたリトグラフもあって、そりゃーもう見事な刷りでした。いや、作品がよければこそですが。タマリンドTamarind Instituteというのはアメリカのニューメキシコ大学美術学部付属研究所で、刷り工房としてだけでなく刷師育成もしているところで、私もここのリトグラフ技法書をもっていますが、まさにバイブルのような本です。

 それにしても、その版画展は別会場で販売もしていたのですが、タマリンド刷りによる作品より、大きめで多色刷りの作品の方が、ぜんぜん値段が高くついていて、なんてこと!と思いました。わたしだったら(お金があれば)ぜったりタマリンド刷りの買うのに!断然美しいのに!・・・まあ、いいや。先月には同氏の東京都現代美術館での彫刻展もみたのですが、初期の作品の中に、学生時代のバイト先の方がモデルをしてる作品があって、おもわず彫刻の前で「○○さんだ!」と(もちろん小声で)歓声をあげてしまいました。バイトしていた当時から「○○さんは、舟越桂の作品のモデルになってるんだよ」と聞いていて、「たしかに舟越系の容姿をしていらっしゃる」と思ったものでした。今回のように彫刻や版画が連動した展覧会で、もともと十二分に有名な作家ではありますが、さらに深く広く多くの人が見る機会があって、版画などにも興味を持つ人がふえてくれるとうれしいなあ。

そうそう、彫刻展には、作家によるメモ書きも一部展示してあって、そこに「名言」がありました。こんなような言葉でした。いわく、

 近くの先生より遠くの名作

キモに銘じましょう。(つづく)


5月18日(日)

 なんだか寒いここ数日。鍋でもつつきたい気分です。今月始めに名古屋で買った山本屋総本家の味噌煮込みうどんを土鍋で作って今期の土鍋利用は最後と思ったのに。(味噌煮込みうどんおいしかった)。「もう鍋は暑いな」と思うと、押し入れにあるかき氷作り機を出して、その空いたスペースに土鍋をしまうのだが、今、その入れ替えをしていいものか今一つ決断できない。

 しかし、梅雨にはいって蒸し暑くなる前に、もう一つ大きめの作品を作っておこうと思って作業を始めた。私が暑がりだからというのもあるが、やっぱりリトグラフ制作は夏向きではない。暑さでインクがゆるんで版が汚れ易くなったり、エアコンで逆に乾燥するので、版がすぐに乾いてしまう(リトは刷ってる最中、版が程よく湿っていなくてはいけないので)。紙も銅版画のように濡らしたりはしないけど、やはり程よく湿ってるとインクのノリもよい。つまり、リト的にはここ数日の気候はとても喜ばしいことになります。なので、暑さ本番の前に頑張っておこうと言う訳です。でも、今にして思えば、学生の頃は、エアコンはもちろん八王子の山奥なのに暖房もないアトリエでよく作業をしていた。指がかじかんで薬品のボトルのキャップをひねれないとか、あまりにも着込み過ぎて腕がくめない(反対側のひじの辺りまで手が届かない)とか、ホカロンをどこに当てれば、より暖かいかなど図解してみたり、今にしてみれば楽しい思い出ではある。暑いとか寒いとか言ってないでがんばろうっと。

ちなみに今月の作品は、逆に暑さのほとぼりが冷めた頃の秋につくりました。(つづく)


5月26日(月)

 生まれてはじめて江ノ島に行って、江の電にのって、鎌倉の大仏を見た。ちょうど前日に本屋に行ったら『Hanako』が鎌倉特集をしていて、ものすごく久しぶりに買う。むかし会社勤めをしていたころは、よく読んでいたが(だってデザイナーといってもOLだし)、ある日、星占いが気に入らなくて読まなくなった。「山羊座、墜落運。飛行機のる予定の人は注意」って、週に一度のOL達へのご神託にしてはしゃれにならない。

 で、江ノ島&鎌倉である。『Hanako』を片手に(実際には、カバンの中に)、JR鎌倉江ノ島フリー切符を片手に。かの地は、学生時代に2、3回訪れたことがあるものの、数年前まで大仏は鶴岡八幡宮(八幡宮だと気がつくまで)にいると思っていたぐらい、ほとんど未知の世界であった。名古屋なみに土地勘がない。海の町という潮くささと、クラシカルで、洗練された感じが不思議である。今回は特に、美術鑑賞はしなかったが、江ノ島神社および長谷寺の弁天窟で、芸事の神様である弁天様に、自分にちゃんと向き合って見い出した版画作品をちゃんと作り続けていけますように、とお祈りする。

 気に入ったお土産は、大仏さま近く近くの駄菓子屋で買った大仏グミと、鳩サブレーの豊島屋でかった小鳩キーチェーン(鳩サブレーの形の携帯ストラップと迷ったが)。どっちもかわいい。


5月31日(土)

 ほんとは、現在すでに6月1日の日曜日です。月毎の更新をしようとしていて、5月分を読み返してみると、作品について全く記述がないことに気がつきました。5月はまるで遊び回っているだけのようだった。

 ということで、補足です。

 昨年の個展に発表したこの作品は、他の展示作品同様、「fantafonte」のイメージでつくられたものです。「fantafonte」というのは、このサイトのタイトルでもあるように、私がつくる作品全体の大きなテーマであると同時に、昨年の個展では特に意識していたことです。

 自分の中にある思い・考えなどが、ふわふわと(雲のように)自分のまわりに漂い、そしてその存在が、また自分への(泉のように)滋養となる。というのが大まかなイメージです。考え事をするのが好きな私には、考え事がまたあらたな考え事や映像を生み出し、それをなぞるように作品にしていきます。この作品はいわばその仕組みの図解のような感じです。

あまりにも、ずさんな(?)説明なので、6月も、このテーマを続ける予定です。