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   No.31・JULY 2003

"idrolingua" <<水のなかの言葉>>

ed.15, 45cmX35cm, lithograph, 2002

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7月1日(火曜日)

 夏だ!プールだ!というわけで、近所のプールもだんだんと混み合ってきました。大型作品の刷り以外はほとんど体を動かさない生活なので、最低週1はプールに行くようにしています。とはいえ、泳げるようになったのがここ数年の話なのでたいした泳力ではないけれど、LSDめざして(ラリっちゃうやつでなく、Long Slow Distance、長くゆっくり距離を泳ぐ、という意味です)がんばりたいです。とりあえず、Slowなのは達成できているのだけど。

 それまで本物のカナヅチだった私には水中の体験というのはとても新鮮なものでした。フィジカルな体験は作品にしたくない方だったのですが、やはり水中で見つけた(思いついた)イメージが作品になったものが数点あります。先月にも書いたように、自分の頭の中で起こる、ようするに空想の世界が好きなので、物理的にあるものに対する自分の反応を作品にしてしまうのは、なんだか単なる「写生」のようで、あまり好きではなかったのです。もちろん、写生がいけないわけではないです。けれども、やはり視点を変えてみたものから、また空想の世界が広がることをあり得るわけで、いろいろイメージもわいてくるし、まぁ作ってみっか、みたいな感じになりました。でも、水ということをはっきりとだしているのは、この作品がはじめてかも知れないです。今月は、せめて涼しげに、こんな話をすすめようと思います。(つづく)


7月6日(日曜日)

 そろそろ巷でも、海開き、プール開きしているようですね。海といえば、海と共に生きている人もたくさんいますが、海どころか水辺にあまり縁なく生きてきた私にとっては(江ノ島だってこないだ生まれて初めて行った)、海は泳ぐにはやっぱり大きくてこわい所です。要は足がつかなくて、水が動いてるのがイヤ(笑)。

 とはいえ、私の愛用する塩素臭い某区営プールで、私はいろんな視点をみつけました。水中では陸上でいるのと物理的に全くちがう状態で、とにかく規則的に呼吸をして規則的に手足をうごかすことに集中しつつ、水の中の様子をながめつつ、やはり色んな考えごとをします。水中ででんぐりがえしをして、一気に垂直方向に360°の視界を得た時はとても不思議な感じがしました。でも、鼻に水がはいってつらかったので、以後あまりしてませんが。

 夏休み中をのぞくと、一人で来て、もくもくと泳ぎ続ける人がおおいです。以前、ずっとレヴェルの「ボレロ」を口ずさみながら水中ウォーキングをしているマダムをよく見かけたけど、やっぱり泳ぐ時はしゃべらない(しゃべれない)ので、すごく自分が呼吸していることを注視して、ぶくぶく出てくる泡をみつづけたりしてると、なんだかそれ自体が意味のある生き物のように思えてきます。

 ところで、夏といえば、Tシャツ。トップページでもお知らせしましたが、キャラカン・コムで発売中の、私のイラストのTシャツ(8種)とポストカード(10種)が、みんな新作になりました。見てみて下さいね。それから、キャラカンのいなださんが猫エイズのねこさんの里親募集中とのこと。興味ある方は、同じく彼女が運営するペットコムネットをみてみてくださいにゃ。もちろん人間にはうつりません。(つづく)


7月12日(土曜日)

 なんか今年は梅雨らしいですね。去年はあんまり雨降らなかったような気がするけど記憶はさだかではない。植木の土もだらだらとしっとりしていて、水やりをしてしていいものかどうか迷う。今いるのは、万年青(引っ越しの時は連れていくという)、スペアミント、バジル、朝顔(昨日やっと咲いた)、西洋ひいらぎ。あと万能ネギ(笑)。スーパーで買ったものだが、根っこがついていたので冷蔵庫でなく、鉢植えにしておいたら、元気にもう2ヶ月以上生きている。素麺など食べる時、ぷちっと一本収穫します。

 プールの話をしておきながら、ここのとこさぼり気味だったので、一昨日は私なりに長めに泳いできました。でも、なかなか規則正しく呼吸を整えられず、フォームもバラバラなので、泳ぎながらああじゃないこうじゃないとしていると、考え事をする余裕もない。ほんとは新作のアイディアをぼーっと考えながら泳ぎたかったのに。でも、ぶくぶくと泡をみていると、先月で書いた「雲のような泉のようなfantafonte」を目の当たりにしているような気がしてきます。いろんな人が、それぞれにいろんな思いを自分のまわりにたゆらせているみたいです。(つづく)


7月20日(日曜日)

 梅雨明ないけど、夏の三連休ですね。小学生でない方々もだんだん夏休みモードなのではないでしょうか。私は特にかわりないです。でも、作品作りはもう小さめの作品制作に切り替えました。小さくてもやっぱりリトの刷りなどはずっと体を動かしてるので、夏はほんとにつらいです。やっぱりこういう時期は個人のアトリエが快適だなあ。

 ふだんは版画工房にかよってはいるものの、ほんとは自分だけのアトリエもあるのです。最近は平行してそれぞれの場所でそれぞれの作品を作っているのですが、お盆の時期は工房は夏期休所になるし、夏はマイアトリエで涼しく好きな音楽をかけながら作業するのがいいかな。

 先週にひきつづき、プールの話をしておきながら、また先週もサボってしまいました。でも、ひきつづき「ぶくぶく」の話をします。泳いでいる最中いろいろ考えてしまったり、何回往復したのか数えてばっかり(結局とちゅうでわからなくなる)の時もありますが、ふだんは作品のスケッチを頭の中でしていたり、ふつうの考え事をしていたり、マナーの悪い人が目の前にいると不愉快になったり、いろいろな気持で泳いでいるものなのですが、ほんとうに「ぶくぶく」と鼻から息を吐いていると、それがマンガのフキダシのように、いろんな私の気持を代弁しているような気がしてきます。プールの中にいる人たちみんなから、フキダシがでていて、そこに各人各様のセリフがあるような感じです。自分からみると何でも語っているのだけど、周りの人から見たら何を言っているのかさっぱりわからないとても便利な(?)言葉です。また反対に、みんなが同じ言葉を語っているようにも見えたりします。ところで、水泳では鼻から吐いて口から吸うと習いますが、最近息をはくのも口からの方が楽な気がしています。そうすると、ほんとにフキダシのセリフのような感じです。(つづく)


7月27日(日曜日)

 まだ梅雨明ないけど、さすがに来週の今ごろは暑さに負けてかき氷食べ続けている予感。夏もなかばというのに、まだ今年はかき氷作ってない。暑いのは苦手だが、こうも日も照らず涼しいと、「みんなこんな暑い中働いてて大変だなー」とのんきに思いつつ、のんびり窓辺の景色ながめて白玉いりかき氷食べたりするのが恋しくなる気がする(そのかわり、他人様がお休みの時働いたりしてるので許して下さい)。

 先々週、先週にひきつづき、またプールをさぼっています。今月は水中がテーマになった作品だし、先週あたりから、TVで「世界水泳」をやっているので、プール行きたい気持はあるのだけれど。それにしても、ほんとに皆さん早く泳ぐものですね。区民プール専門の私は50mプールでさえ、すでに未知の世界なので、水深も深くて広いプールに、ひとりでちゃぷんと入ってみたらどんな気分だろうと思ったりします。たぶん、足がつかない所へは入らないのだろうが。

 TVの水中からとった映像などをみていたりすると、過去の作品の「sunlight」のときに、黄色い陽の光にとっぷりと浸かっているイメージについて書いたことを思い出しました。水中では実際に、とっぷりと浸かっているわけだけれど、自分を取り囲む状況の象徴としての水中(もしくは陽の光)にたいして、「ぶくぶく」がその密な空間へかかわっていくことで、自分とそのまわりのかかわりの形も常に変わっていくというのが、この今月の作品が「sunlight」とまた違う視点で、じぶんのまわりのものの形を見ているのだと思います。きっと、見つめているのは、おなじ自分のなかにあるものだとは思うのだけれど、いろんな視点でみることで、いろんな側面や奥行きがみえて、自分の描きたいものが、すこしでも形になってみなさんの視覚にうつればいいなあと思います。