No. 65 - May 2006
gallery talk 今月の一枚


"Solarium" (ソラリウム)

ed.30, 20cm x 14cm, Lithograph, 1997

5月1日(月曜日)

 ゴールデン・ウィーク真っ最中。すでに先月イタリア旅行して遊びすぎたのもあり、この季節のお楽しみ恒例イタリア映画祭で3本はみるけど、なによりお仕事と掃除と片づけが山盛りなのでインドアなひとときを過ごす予定です。

 先月末は旅行中ボローニャ児童書フェアで知り合ったイタリア人イラストレーターの女性が日本旅行中で、2回ほど一緒に遊びに行ったり、ここまでの短い文章ですでに3回も「イタリア」という言葉がでてくるように、旅の記憶は徐々に遠のきつつも、まだまだしっかりとイタリアの薫りがただよう毎日なのでした。

 イタリア旅行記(<6回目)をBlogにぼちぼちつづっています。今のとこ滞在3日目あたりのお話。そんなわけで今月もよろしくお願い致します。

 今月の一枚は、かなり古い作品ではあるものの、春らしい作品を中心にピックアップした先日の伊東屋ミニ・ギャラリーでの個展でも、わりとご好評をいただいた作品だったうえに、まだこのコーナーに登場していなかった!ということで、選んでみました。先月はすっかりウェブサイトの更新がおざなりになってしまったので、今月は心を入れ替えがんばりたいです。(つづく)


5月13日(土曜日)

 5月もなかばだというのになんだか肌寒い。のんびりの先月のイタリア旅行記を

に掲載中してたりすると、気温も気分もまだ4月をひきずっている気分だ。ゴールデンウィークをはさんで来日、観光旅行をしていたイタリア人イラストレーター嬢も離日し(結局3回ほどお伴した)、イタリア映画祭もちょっと期待ほどでもなくイタリア度が薄まりつつあるけど、ケーブルのスポーツチャンネルでジロ・ディ・イタリア(自転車レース)が始まりレースはどうでもいいけど街の景色を毎日生放送でみられるのは、なんかうれしい。

 なんて振り返ってばかりいないで、本当に秋の個展にむけて制作をしないといけない状態だ。去年からグラフィック・ノベルばかりであそんでしまって、作品らしい作品をほとんど作っていない。正直言うと間に合うんだろーか、という感じなのだけど、でもきっと間に合うんだろう。いつも1年おきにやっている個展では、2年間分の作品の発表ということになるのだけど、2年も時間があると、たいてい一度に展示した時にまとまりがわるい作風のものがでてくる。端から見れば、どれも似たようなものなんだろうけど。

 そういう意味では、一気に集中してつくるのも、まとまりがでていいのかもしれないし、と楽観的に考えているのだった。作家によってはテーマがしっかりしていて、よくいえばスタイルが統一されている、悪く言えばどれも同じような感じの作品をつくったりするけれど、私はどうしてもそれが出来ない。ただ色違いサイズ違いバリエーション違いをしてるように思えてしまうのだ。そういうのを作る作家さんは、きっと私のようには考えず、その(私には見えない)世界の違いが分かる人なのだろう。私は鈍感ちゃんなのかもしれない。それで数年経つとすっかり作品の感じがちがってしまうのだ。

 私なりに、その時々であるテーマをもっていて、共通のシンボルのようなモチーフが続けて出てくることはある。今月の作品にあるような、赤いお城のようなものがそれである。発表当時は「この赤いMの字はどういう意味ですか」とか、なぜか「このEをヨコにしたのはなんですか?」とか、こちらの方が見る人のうけとめかたの幅広さ(Mはわかるけど、なぜEとヨコにする?)に感心したものだった。というか、みな自分の中にある何かしってるものに当てはめて分かりたいという気持ちはあるのだとおもう。わたしだってそうだ。なにか共感出来るものがあると、絵に限らずその作品はとても親しい存在になるのかもしれない。

 肝心のその「M」はもちろんMじゃなくって、小さいなお城というかゲイトのようなものとして描いたものでした。以前も描いたことがあるけれど、版画で色版を重ねていくごとに、私としては私の描きたいもの芯にあるものにかかっている薄いヴェールが一枚ずつ開かれていくような気がする。だいたい心象風景のようなものなので、いわば小さい自分自身のような、ここにいますよ!というあまり人に気づかれないけど小さな声をあげている存在を探し当てたようなイメージを私はもっているです。(つづく)


5月22日(月曜日)

 久しぶりに晴れた日曜日。軒下の草むしりなどしてみる。ほったからしていたわりに植木もみんな元気で、お友達からもらったセロームもまた新しい葉っぱがでてきた。朝顔は去年失敗してほとんどの種を台無しにしてしまったのだけど、わずかな残りで苗をつくってるところ。なんてことをしながらも、まだイタリア旅行の話はつづく。やっぱりデジカメ写真もデータのままでは味気ない、でも前回のように自分でプリントアウトするのもめんどくさい、ということでお店プリントする。きっと連休で旅行した人たち目当てだろう、お店プリントが今月いっぱい格安になってたのだ。厳選(?)して450枚ぐらいプリントした。見かえしてまた旅の思い出に浸るのだ・・。そんな写真の一部を旅行記と共にブログで公開しています。

 先週、絵の中のモチーフ「m」のようにみえるもの、について少し書いた。その後、旅行の写真をプリントしたのを見かえすと、このアーチ状のモチーフが頻出している。そもそもイタリアにはこんなアーチ状の形がいたるところにあるとはいえ、またそれを撮りまくってる私はほんとにこの形が好きらしい。しかもそこから「向こうの世界がみる」という構図はさらに好きらしい。これからは「これはイタリアでよく見られるアーチの形をモチーフにしたんです」って言えばいいんだ・・(笑)。と、自己解決する。

まさにmmmm.....な図。 そして「向こう」をみる図。

 今頃になって写真の整理をしているように旅行直後は頭の中はイタリア度高かかったものの、旅の思い出の品々は散らかったままだったのだ。その後ちょっとイラストの仕事できりりと日常に戻り、ちょっと一段落(ようやく作品制作に本腰をいれはじめたところだけど)して、またイタリアの本を読み返したり、買ったままの雑誌をパラパラみたり、いつも旅の前半だけしっかりつけて後半ぐちゃぐちゃのままの旅の覚え書きノートの整理など手をつけている。

 このアーチ状モチーフ(ようやくモチーフ名も決定。笑)のように、旅の途中で印象に残ったものがすり込まれて、形になってくることがあるのかもしれない。写真をみていて「なんでこれをわざわざ撮ったのかな?」とじっとよくみていると、ちょっとしたレリーフの背景のパターン模様が気に入って撮ったのだ、と思い出したり、今ならまだなんとか作品の「ちいさな種」としての思い出の整理も間に合いそうだ。でないと忘れてしまうかも。いそがないと(笑)。つづく。

おまけ・つづくm状アーチのなかにマックのM。


5月28日(日曜日)

 このまま梅雨入りしちゃったりして・・なんて適当なこと言ってたのは、2,3週間前な気がするけど、ほんとにそんなことになりそうな予感。冬のお布団干してしまいたいのに、その頃には、夏になってるかもしれない。

 しかも、何かやろうとすると他のことでやらなきゃいけないことを思い出して、どっちつかずになるという、気ぜわしくしてそうな割に実際なにもしてない・・ということが少なくない。せっかくやる気がでた時に、すごくお天気が良くてお布団干して、しまうはずの布団の上でぐぅぐぅ寝そうな気もする。

 先週「お店プリント」をすませた旅行アルバムを見かえして、アーチ型モチーフの原点を再認識したのは、よいことだった。ちゃんと自分のなかでより深く考えつつ、でも見て楽しいと思った色と形で作品をつくりたいなとおもう。あんまり、以前のように観念的なことでいじくりまわして作品が疲れてしまうというか意味不明になるのは避けたいのだ。

 ひとさまに見てもらって楽しんで頂ければうれしいし、それは見た人が決めることではあるけれど、アーチ型モチーフのように、見せ方というものをこちらが明確にするのも大事だとおもった。版画に限らずラーメン屋でも売れる店が売れるのである。行列をみると並びたくなってしまうのが人の性である。私も店で食事してる時、まわりのテーブルの人が食べてるものがほしくなる方なので強くはいえないのだが、春の個展はとくに偏りが顕著だった。やっぱり複雑な思いがある。もっと自分でそれぞれの良さをアピール出来れば、赤いぽっち(売約済みのシール)にまどわされることなく、自由にそれぞれの作品を楽しんでもらえたのではないか・・という後悔がのこるのだ。もちろん作品を買って頂いたこと自体はほんとうにありがたくうれしいことなのだけど。買って下さった方のおうちにで赤いぽっちがない、一枚の絵として楽しんで頂けてることを祈るばかりである。


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