2019はじまり。

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

昨年ウェブサイトを模様替えして、あれこれ投稿しようとおもっているうちに新年明けてしまいました。今年こそなんとかがんばりたい。

 

さて、まずは今年の年賀状から。

 

ここ数年の年賀状はだいたいリトグラフで作ったものか、木版画で作ってからそれをプリントゴッコのどちらかですが、今年はリトグラフ!
2種類の絵柄を作りました(一枚ずつ刷るより、2枚ずつ刷る方が早いという現実的理由もあり)。

絵のモデルは、うちの猫ガブリエルちゃん。

 

ふだんのリトグラフ作品は10枚ちょっとぐらいしか刷らないのもあって、年に一度、こうして大量に枚数する経験もとても貴重です。
そして、わたしのなかではいつも何かしらチャレンジというか、実験的なことを取り入れていて、それがふだんの作品作りに活かされることがよくあります。とはいえ、たいてい技法的なことなので、できあがった作品にはあまり関係ないことかも。

昨年はひさしぶりに個展もせず、のんびりだらだら過ごしてしまったので、今年はとにかく制作に励みたいと思います。そして、来年あたりにちゃんと個展ができるといいなあ、と。

 

そんなかんじで、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

最後の画像は、もうすぐ開かれるのを待つばかりの餅。揚げ餅にするよ。

秋のMOWリトグラフまつり、とは。

ほどよくひんやりした秋の一日、春日部市にある「Art & Craft studio T-BOX」さんにて週末催されてた「造形教室展 と 858-市」にお邪魔し、リトグラフのワークショップをしてきました。
備忘録を兼ねて、その様子をまとめておこうかと。

いつものリトグラフの制作風景は、いろいろな工程があり、さらにその各工程のあいだの「待つ時間」がやたらと多くあります。もちろん、そうしなければ出来ない表現があるからなのだけど、でも今回のようなワークショップでは、そこまでしていられません。

とにかく省けるだけ工程を省いて、いきなり20分ぐらいでできちゃうやつにしてみました。

リトグラフってなに?って方に体験してもらうのも大事な目的の一つでもありますが、いっそここまで工程縮めてみるなら、もっと気軽に楽しんでもらおう、もっと遊んでしまおう!ということで、紙を版材にしたリトグラフを考えました。

 

見本というか、試作品いろいろ。

そもそも紙にリトグラフをすると言うのは、夏の終わり頃、やらなきゃいけない用事からの現実逃避(笑)として、なぜかお菓子の空き箱(レヴァン食べてた)にリトの描画材料でいたずら書きをして、簡単に製版して刷ってみたことに始まります。

そのときは「うまくいった!」というにはほど遠く、だけど、もう少しやり方を工夫したら意外に面白いかも……とぼんやり思っていました。そんなころにワークショップ参加のお誘いをいただき、「お菓子の箱でリトグラフしよう!」みたいなのなら工作みたいで楽しいかもと思い、お菓子の紙箱さがしが始まったのです。

それなりに吸水性はあるけど水にふやけず、インクローラーでコロコロ刷るから強度もいる、とはいえしっかりめのマット紙ならいいかといえば、そうでもない。お友達からも空き箱をあれこれ恵んでももらい、いつもなら資源回収にすぐだす空き箱もいちいち「使えるかも?」と溜め込み、使えそうな紙の目処がたってきました。

 

それが、アイスのMOWの外箱の紙だったのですっ。

 

外箱を取られて、本体のみなさんは冷凍庫で休憩中。

 

工程を短くしすぎなため、絵をかくというより、ぐりぐりといたずら書きしたら、あとは(本来のリトなら御法度の)地汚れが、味のあるマチエールになり、また紙なので簡単に切り抜ける──そんなマチエールときりぬく形で楽しめそうな感じになってきました。

だからもちろん、ちゃんと描画をしたいひとたち用に、いつものアルミ版との二本立てにしました。こちらも工程をかなりすっ飛ばしているので、せいぜい3枚ぐらいしか刷れないけれど、それもまたよし。

 

これはチョコ味。もちろん、味はリトグラフ的にまったく関係ないです。

 

そんなわけで、題して「秋のMOWリトグラフまつり」開催!となったのでした。いや、ほんとはこのお題は後からつけましたが笑。

なんだか長くなってきてしまったので、肝心のワークショップ内容は、次回に続けることにします。

 

 

 

 

 

 

「世界を変えた書物」で作るカルトン

先月、上野の森美術館で開催されていた話題の「世界を変えた書物」展
なんとかギリギリ見に行くことができました。

科学系の本が中心ながら、やはり本という形、そして印刷をみるのはとても楽しい。
なにしろ、当時はまだ、印刷と版画ってそんなに離れてない。

私はよく、版画とくにリトグラフの技法を聞かれたときに、布にたとえてお答えすることがあります。
鶴の恩返しみたいなぱったんぱったん機織りも、工場の機械でがっしゃんがっしゃん大量に織るのも、タテ糸にヨコ糸通している原理はかわりない、版画と印刷も(とりわけリトグラフとオフセット印刷は)そんなかんじなんですよー、というふうに。
いまも手織り作業が生き続けているように、プレス機をぐるぐる回して一枚ずつ版画も生き続けています。

話戻って、この展覧会。
美しい図版も、銅版画などで一枚一枚刷られたもの、本が書かれた内容はもちろん、どれほどものとしても貴重で価値あるものだったのでしょう。
とりわけピラネージの銅版画が本になったのは、眼福としかいいようがない。

そして、グッズもいろいろあって、タブロイドサイズのプログラムが2種類ありました。
こういう紙モノには目がない私。もちろん手に取っているうちに、
・・・これで、カルトンつくれるんじゃない??と思ったのでした。

そうとなれば、予備も含めて多めに買い込んで(失敗したらいかんので笑)、作業あるのみ。

道具はいつものこんな感じです。

厚紙はいぜん作ったカルトン(数年前の個展に、イタリアの新聞紙や和紙にリトグラフを刷って、作りました)の残りがあったのでそれを使いました。

当時は、こんな感じで作っていたのでした。20個以上つくったかな。

さて、今回のは。

この、でっかいノミちゃん(A・ロバート・フック「微細物誌(ミクログラフィア)」1665年)のページをみてたら、もうこの出来上がりが脳内にありました。

表側は、ちょうど本の表紙、背表紙そのものがサイズ的にもぴったり(コロンナ「ポリフィルス狂恋夢」1499年)。

ちょうどA4サイズの紙がはさめます。実用的なのだ。

会場のグッズもいろんなもの(Tシャツとか傘とか風呂敷とか)があったし、なかにはデューラーの図を使ったA4ファイルもあったけど、A4見開きクリアファイルで、こういう本の表がわ、そして中の見開きそのものを使ったやつがあったら、ぜったい買ったのに!

とはいえ、久しぶりにカルトン作りして、細かいところは不具合あれど、自分で使うんだから全然問題なし。いいのが作れました。