2022年。

2022年、令和4年、あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

上の画像は、今年の年賀状。
昨年に引き続き、プリントゴッコで作りました。

秋以降かなり落ち着いたかにみえたCovid-19も、またちょっと復活しはじめて、まだまだ油断のならない年明け。
昨年は展示発表の機会もほとんどなかったものの、今年はすでにいくつか決まっていて、なんとか無事に開催されるようにと思っています。

しかしなにより、まず作品をつくらないと!

そんなわけで、今年は近年にないスピードでまず年賀状を作り投函しました。そして大掃除もおせち料理もほぼ手抜きで、作品制作することに。
日頃ぼんやりしているせいか、なかなかマルチタスクができず、かといって制作しているといっても考え事をしているだけだったり、傍目にはこの慌ただしい年末年始にいつも以上にぼんやりしているだけかもしれないけれど。

いちばん大きな予定としては、まだ先だけれど年末12月に個展を予定しています。だいぶ前になるけれど、かつて銀座のガレリア・グラフィカbisというギャラリーで隔年で個展をしていた時期がありました。現在そこは、ギャラリー・シェーヌと名前が変わりましたが、気持ち的にはホーム・グラウンドのようなその場所に戻っての個展になります。

その前に、来月2月に2つの展示が。

ひとつは、そのギャラリー・シェーヌで2月7日(月)−19日(土)にひらかれる16人ぐらいの作家があつまっての小品展に参加します。
これは12月の個展の予告編みたいな作品がだせればいいな、と制作中。

もうひとつは、初めてになるのだけれど、「吉祥寺ねこ祭り」というイベントに関連して、友人の版画作家と2人で展示をします。もちろん、テーマは猫。点数や時間的に、いつものリトグラフで全点をつくるのは難しく、でもリトグラフにモノタイプをくわえるという、これまでやったことないやり方というか使ったことない画材を使って作品をつくってみようとしていて、案外とても楽しみです。こちらは、吉祥寺のコピス吉祥寺にて2月いっぱい展示される予定。

そんなわけで2022年、2月や12月(しかも12月12日から!)と、なにかと2がつく展示が予定されています。ねこ祭りの展示以外は、とくに猫は関係ないけれど。来月の状況がどうなるかわかりませんが、無理のない範囲でぜひどちらもご覧いただければうれしいです。

さて。話はもどって、年賀状。

昨年同様、プリントゴッコのメッシュのみレトロ印刷のJAMで3版ぶん作っていただきました。オモテ4版5色(MMXXIIの部分をインクを変えて2度刷っています)、裏の宛名が1版3色。

寅年ということで、トラっぽくしてみたけれど、ウィリアム・ブレイクの「タイガー The Tyger」という詩の一節をいれてみました。とはいえ、イタリア好きなもので、それをウンガレッティというイタリアの作家が訳したイタリア語バージョンだけれど。
「ウィリアム・ブレイク タイガー」でぐぐると、原文詩および邦訳もいくつかでてきます。

「MMXXII」はローマ数字の2022

ということで、展示それぞれまた近くなったら、くわしく告知の予定です。
どうぞ今年もよろしくお願いいたします((ΦωΦ))

Happy Holidays!

年も暮れて来ました。
またもあっという間の一年。こないだ年明けたばかりだったのに・・・と思いつつ、今年もあと数日。

リトグラフの木!

このブログも、こまめに更新するつもりが、これで今年4回目の投稿(笑)。来年はもう少し書くこと増えるのではと思います。思いたい。

さて。上の画像は、「リトグラフの木」。
毎年この時期になると、リトグラフの描画材料などでこんな画像をつくって、SNSにアップして遊んでいるのでした。

てっぺんの「星」は、ちいさな黄色いスポンジ。アラビアゴムという薬品を塗るときに使います。木の枝葉はどれもリトグラフの描画材料で、左側が紙巻鉛筆で色鉛筆のようなタッチ、右がクレヨンのようなかんじ、どれも鉛筆のHやBのように硬軟が5段階あります。根っこは、片手ローラーのローラー抜き(掃除のために外したり、またゴムローラーは消耗品なのでたまに買い換えます)。

年末といえば、いつも年賀状の準備をしていて、年が明けてから作ってることも多かったけれど、今年はなぜかもう出来上がって投函も済ませました。
しかし、それであとはのんびり大掃除でも・・・とはいかず、そして正月の準備もなく、制作に励む予定。
なにしろ2月にひかえる展示の作品をあれこれ考え制作するのです。

また近くなったら告知しつこくする予定ですが、2月にグループ展ふたつ。そして年末には久しぶりの個展があります。

描きたいものを描くというのは、ほんとうに難しい。がんばりすぎず、でもがんばります。

来年がたのしい一年になりますように。

カルメラさんとちいさな不寛容

ふだんはリトグラフの作品を作っていますが、10年ぐらい前までしばらく銅版画で物語のようなものを作って、それを手製本に綴じることもしていました。
主人公はすべてカルメラさんというひとで、8作ぐらいシリーズ化していました。
唐突ではありますが、そのころの作品をひとつご紹介します。

「カルメラさんとちいさな不寛容」

1. 
《清らかな生活》
ある丘のうえにカルメラさんというひとが、暮らしていました。カルメラさんは、まいにち朝はやくから起きて、ちいさな家のすみずみまでしっかりはたきをかけて掃除をするのが好きな、一人暮らしの主婦でした。そして、ドーナッツをつくったり、庭でキャベツを育てたり、読書をして日々をすごしていました。ときどき誰かが訪ねてくる時もありましたが、ひとり静かにすごすことをとても大切に思っていたのです。それは、ねこのガブリエルと一緒に暮らすようになっても、変わることはありませんでした。

2.
≪おだやかな日々≫
ねこのガブリエルは、しばらく前のある日、おなかをすかせてカルメラさんの家にやってきました。ずっとねこを飼いたいと思っていたカルメラさんがあれこれと世話を焼き、今ではすっかり懐いています。とはいえ、ガブリエルにもひとりの時間がたくさんありました。ときどきは、はぐれてしまった遠い世界の両親のことを思い出します。いつか迎えてきてくれるのではないだろうか、そんなことを思ったりしながら、大好物のドーナッツを食べたりコーヒーを飲んでごろごろしては、日々を過ごしていました。

3.
≪ひみつの扉≫
カルメラさんの家のかべには、いくつかひみつの扉がありました。ねずみの穴よりすこし大きく、どれもカルメラさんがきれいなカーテンをつけています。そしてその扉の向こう、かべの裏側には、また別の世界がありました。その世界に住む存在がいるのです。カルメラさんはドーナッツをつくると、かべの向こうにもその香りが漂うようにしてあげます。もしお腹がすいていたら食べにくればいいし、欲しければコーヒーもだしてあげるようにしていました。毎週金曜日には、こどものリャマのアントニオがキャベツやドーナッツの外側を食べにやってくるし、いつもスケートボードにのっているクールなおんなの子バンビーナも、よく姿を見せました。

4.
≪現れたよびかけ≫
カルメラさんお手製のポンポンえりまきをしたねこのガブリエルは、バンビーナにとって、ふしぎな存在でした。カルメラさんから、ねこを飼うことにしたと紹介してもらった時から、ちょっと変わったねこだと思っていたものの、とてもうれしそうなカルメラさんをみて、それは言えませんでした。しかし、きょうのバンビーナは何かを企んでいました。

5.
≪掠われたガブリエル≫
バンビーナは、ねこのガブリエルをひみつの扉から広がるかべの裏の世界へ、おびき寄せることに決めました。大好物のドーナッツに紐をつけた仕掛けをつくると、ガブリエルはかんたんにひっかかりました。読書をしていたカルメラさんが気づくことはありませんでした。何が起きたのかまったくわからないガブリエルは、仕掛け罠とも気づかず、ただドーナッツをしっかり握りしめたまま、小さなひみつの扉にぎゅうぎゅうと吸い込まれていってしまいました。

6.
≪真実のとき≫
扉の向こうは、真っ暗でした。しばらくすると目が慣れて、そこにはバンビーナとリャマのアントニオがいるとわかり、ガブリエルはすこしホッとしました。そしてバンビーナが、みんなで楽しいところに行こうよ、とウソをついて、自分のスケートボードにガブリエルを乗せてやりました。なにもわからないガブリエルは、うれしくなりました。前からこのスケートボードに乗ってみたかったのです。その時でした。バンビーナとリャマのアントニオが、いきなりガブリエルのねこ頭巾をひっぱりました。

7.
≪深い悲しみ≫
その頃、カルメラさんはようやくガブリエルがいなくなったことに気がつきました。家の中じゅう、そして庭のキャベツ畑の、キャベツひとつひとつの中までさがしたけれど、みつかりません。どこへ行ってしまったのだろう、紐でつないでおけばよかったのかもしれない、いろんなことが頭をよぎりました。ずっと一人が好きで、ずっと一人暮らしのカルメラさんですが、なんだかとても悲しくなってしまいました。

8.
≪お互いのため意味がない≫
バンビーナには、わかっていたのです。ガブリエルは、宇宙人のこどもでした。両親と宇宙船にいたのに、この街へうっかり落っこちてしまったのです。お腹をすかせてカルメラさんの家にあるドーナッツを食べているところを見つかり、それ以来カルメラさんに「ねこ」として飼われてきました。かわいいねこ頭巾も作ってもらいました。それがバンビーナには気に入りませんでした。ガブリエルは、カルメラさんの求めるねこではないし、カルメラさんは、ガブリエルの求める両親ではありません。なのに、カルメラさんちのねことして暮らすのは間違っている―――バンビーナはそう告げました。

9.
≪自分のための人への思いやりは正しいことではない≫
バンビーナによれば、カルメラさんがガブリエルによせる愛情は、ねこをかわいがりたいという気持ちの代替えであり、本当にガブリエルが求めるカタチを与えているものではない、というのです。そして、ガブリエルもまた、ほんとうなら宇宙船に戻って両親と暮らし、いろんな星を攻撃し征服することが、本当のよろこびのはずで、ドーナッツをもらってなでなでしてもらうことが、幸せではないはずなのです。相手に何かをしてあげたいという自分の欲求、それは自分のためのものでしかなく、また一方で、現実から目を背け代替えのものに甘受する。それらは間違っているのだ、とバンビーナは力説しました。

10.
≪悲しみはずっとつづく≫
ガブリエルはわからなくなりました。宇宙船の両親に会いたい気持ちは確かにありました。そして、もし自分がねこではなく、宇宙人とわかったとき、カルメラさんはこれまでと同じようにドーナッツをくれるのでしょうか。もしくれなかったら、攻撃すればいいのでしょうか。そもそもガブリエルは、ねこらしく過ごしてきたのでしょうか?―――自信はまったくありませんでした。どうしたらよいかもわかりませんでした。ただ、カルメラさんのところに戻って、一緒にドーナッツを食べたいと思いました。それが問題の解決ではないと、それだけはガブリエルにもわかっていました。

11.
≪理解しないことと寛容であること≫
ガブリエルが帰ってきて、カルメラさんはおお喜びでした。本当のねこではないと、気づきたくはないのかもしれません。そしてガブリエルもまた、うれしく思っているようでした。本当に再会をのぞむ家族ではないのにです。すこし高揚したこの場の空気をやさしさと受け止めることは、バンビーナにとって居心地が悪いものでしたが、その場を立ち去るには、ドーナッツのあまい香りが強すぎました。うれしそうな二人の姿を見て、バンビーナにはかすかな怒りすらこみあげましたが、いそいでそれを、もらったドーナッツと一緒に飲み込みました。バンビーナには、わかりませんでした。わかりたくもありませんでした。

* * *

さて。
ここからちゃっかりとした情報。
最近よくみるTシャツなどグッズを作ってくれるサイトで、Tシャツセールをしているというので、なにか作ってみたかったのです。
ということで、このなかの1枚をつかってみました。
よかったら見てみてください →こちらから😀