「作家Zakka百貨展 vol.8」に参加します

毎年盛夏の恒例となったグループ展に、今年も参加します。
会場も、いつもの東京大森の葡萄屋ギャラリー。
8月2日(金)から11日(日)まで、大森の葡萄屋ギャラリーにて(詳細は下のほうに↓)。

この展覧会は、その名のとおり、いろんな作家さんたちが、本気で遊び心を持って作る雑貨がたくさん。版画家が多めではありますが、私もリトグラフを使いつつ、いろんな雑貨を楽しく作りました。

そして、今年のテーマは「旅」。WE ARE ALL TRAVELERS! です。

ということで、今年の私の雑貨は、リトグラフと各国の切手が楽しめるメールアート、題して「旅をしてきたポストカード」!

イタリアやハワイ、シアトル、スペインを旅したリトグラフのカードたちが、トランクのかたちをした、両面から見られるフレームにはいっています。

どういうことかというと。

リトグラフで作ったこのポストカードたちを封筒にいれて、海外に住む友人たちへ送り出します。受け取った彼らがそのカードをとりだし、郵便ポストに投函してくれて・・・日本に帰ってくる、というわけです(一部まだ帰ってこないけど笑)。

そこで大事なのが、切手。

今回は、その切手たちも見どころのひとつ、と言うより、これこそ見ていただきたいー。切手のちいさなアートの世界を。

というのも、わたしは切手が大好きで、これまで数少ない海外旅行にいくたびに郵便局であれこれ切手を買いあつめていました。今回はそのコレクションを中心に使っています。もちろん、友達にもらったもの、友達が現地で切手を貼ってくれたものも。ほんとうに、各地のお友達のご好意なしには成し遂げられませんでした。わたしの思いつきにみんな快く付き合ってくれて。ほんとにありがとうっ。

たとえば、こちら。

これは、イタリアのフォリーニョに住む方にお願いしたものだけど、なんと現地の有名なお祭り「Giostra di Quintana」の特別消印を押してもらっています。

切手は、以前わたしがイタリアで買った、スクロヴェーニ礼拝堂のジョットの作品や、フラ・アンジェリコの「受胎告知」の切手など。(宛先はわたしの自宅あてのラベルを貼っていましたが、それは剥がしてあります笑)

切手を見るだけでも楽しいので、近日中にひとつひとつ切手紹介をする予定。

そして、もう一つの作品は「旅するノート(役に立たないイタリア語会話集つき)とカバー」。

イタリア語の、あまり役にたたなさそうな会話文が、ノートのところどころにいたずら書きのように入った、実用性のある?ノートと、そのカバー。

カバーは、ノートを使い終わったあと、文庫本カバーとしても使えます。ノートの表紙や、カバー内側は、リトグラフで刷ってありますよ。ぜひ会場でお手に取って見てください。

そんなわけで、ながーーい梅雨のあとの酷暑の日々ではありますが、無理のない範囲で、ぜひぜひご高覧いただけるとうれしいです。もちろん、いろんな作家さんたちのいろんな雑貨で楽しめること請け合い。ギャラリー1階の喫茶では美味しい紅茶もいただけます。

どうぞよろしくおねがいします!!

《展覧会詳細》
作家Zakka百貨展 vol.8
2019年8月2日(金)−11日(日)
11;00−18:30(最終日は16:00まで)
*月・火は休廊です!

葡萄屋ギャラリー arts + cafe
東京都大田区3−29−3 tel. 03-6429-7331

Book+に参加します。

6月5日(水)から、初台の Book cafe gallery MOTOYAさんにて始まる
「Book+」に参加します(展覧会詳細は末尾にて)。
ずっと「手作り本フェア」として続いて来たもので、私も数年ぶりの参加です。

今回の私の作品は、コルデル文学。
って、なんぞや!と思われる方も多いともいますが、じつは私もつい先日知ったばかり(笑)。

友達から素敵な絵本をもらって、その挿絵がブラジルの木版画家の手によるものと知り、その人のことをしらべていたら「Literatura de Cordelの挿絵で有名」とありました。 Literature de Cordelってなに??と思ってちょっと調べてみたら、露店などで洗濯物みたいに紐(コルデル)に吊るして販売されてた詩と絵(木版画が多かったそう)の冊子のことだそうで。直訳すると「紐文学」なのかな?
また、こういうページ数の少ないこの手の本はチャップ・ブックとも呼ばれているそう。

その売り方の形態はもちろん、身近に、それこそお使いにいったついでに露店で詩や版画に触れるってとても豊かだと思うのです。そして、そういうの私も作りたいと思いました。もちろんホンモノは見たことないので、あくまで想像ではあるものの。それがきっかけとなりました。

てことで、今回のBook+に出展するのがこちら。

「I TRE GATTI NOSTRI われらの3匹の猫」です。
なかの絵はすべてリトグラフで作り、とくに表1+4は直接リトグラフで刷られています(写真の右下にある左を向いてる猫がリトグラフの版の現物)。なかの絵もリトでつくったけれど、表紙以外はスキャンしてプリント、そしてそれをひとつとつ手でちくちくと綴じて製本しました。

猫の絵をかくのはとても難しいものの、それよりも詩を書くのが初めてのことでした。小学生とかそれ以来?

でもせっかくなので、果敢にも無謀にも四行連詩なるものにチャレンジし、韻をふまねばとあれこれひねりだした詩もついてます。なぜか、イタリア語と日本語でつくりました。イタリア語の方が韻が踏みやすいような。

そして、それがどんな詩かといえば、まさに「われらの三匹の猫」、うちの三匹の猫たちへの偏愛というか過剰な愛をしたためました。正確には「わたしの」でいいんだけど、イタリア語で韻をふむために「われら」と複数形になりました笑。

版画アトリエにいる3匹の猫。奥からガブリエル、ラファエル、ウリエルの兄弟猫。
ラファエルちゃん(猫)にラファエルちゃん(版画)をみせびらかすの図

もちろん「コルデル」らしく紐に吊るして展示するように作ったものですが、しかし今回は参加者の多いグループ展ということもあり、紐では吊るさず展示します。とはいえ冊子は自由に手にとってご覧いただけます。どうぞみてみてください!
紙の色は6色、綴り糸も白だったり違うのだったりしますが、中身はどれも同じです。一冊700円。どうぞよろしくお願いします。

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Book+
MOTOYA Book Cafe Gallery(初台)
2019年6月5日(水)−29日(土)13:00−20:00
月曜・火曜はお休み。
ただし、15日(土)16日(日)は日中貸切のため17:00−20:00
入場は閉店30分前まで。
*カフェでの展示になりますので、ワンドリンクオーダーお願いします。
東京都渋谷区初台2−24−7 地図
Phone.03-6362-2082




おまけ。2ヶ月ぐらい前の猫チャリティイベントでは、ちゃんと紐に吊るして展示しました。その時の様子です。

Diario di visita: ブルーノ・ムナーリ

このところ展覧会の会期末の季節なんだろうか、というぐらい会期末が続き、
そのため、一週間のあいだに3回も展覧会回りすることに。

今回は世田谷美術館へ足を伸ばしたものの、乗るつもりだったバスの時間に
間に合わず、だらだら歩くことに。
しかし、美術館まで住宅地につづく道は、ほとんど緑道で、
リッチな土地って、緑の置き方が豊かだなーと常々思ってしまう。
お金出せば豪華な家は一軒建てられるけど、その道に植わってる巨木は
個人の財力でどうなるものでなし。
でも美術だって、バブル期のように、一点豪華な絵画を買ったって
その美術を育て守る人たちのいる環境がなければ、
ほんとに金融商品と変わらなくなってしまうよね。

なんて、余計なことを考えつつ歩いて、やっとつきました。
もう夕暮れ。

入ってすぐ、ゆらゆらモビール群が目に入ります。
今回の展覧会は「役に立たない機械」という副題がついてるのだけど、
このモビールたちの作品名がまさにそれでした。
モビールってなんか楽しそうで大好き。影がまたいい。

いろんな材質で作られてるようだけど
なかでも「陽極酸化アルミニウム」という素材のがありました。
小難しい名前だけど、昔懐かしのお弁当箱などのアルマイトや、
リトグラフのアルミ版(ただし再生版に限る)がまさにそれです。

くわしい仕組みはよく知らないけど。
でも、リトのアルミ版「ただし再生版に限る」というのは、
リトの版は、細かい目立てがされてるものだけど、
新品のアルミ版にそれがなされてるものと(裏はつるつる)、
再生版といって、印刷に使われた刷版の裏を目立てしたものがあって、
その刷版にする工程で、陽極酸化が施されてるそうです。

モビールといえば、私もプラ板にリトグラフを刷ったものと
版画に使ったアルミ版そのものをつかって、モビールを作ったことがありました。
なので、今回のをみて、もっと積極的に「陽極酸化アルミニウム」をつかって
またモビール作りたいと思ったのでした。
それこそ版画作品と、その刷り終わった後の版のモビールを
合わせて展示するとか──なんて、いろいろ妄想が膨らみました。

プラ板にリトを刷ったものと、リトのアルミ版そのもので作ったモビール。

ムナーリに話を戻して、とはいえ、ほんとうに包括的というか
絵画、絵本、デザイン、立体──いろんな作品があって
自分の作品づくりへの刺激を受けずにはいられなかった。
作品をみながら、自分の作品づくりを考えてしまうのでした。

たとえば、「旅行のための彫刻」という作品は
折りたたんでポータブルになるオブジェのことでした。
これをみて、私も以前すごく小さな作品をつくったときに、
「お散歩にも持っていけます」なんて、
わざとふざけたキャプションをつけたことがあって、
でも、もっと本格的に「お散歩用版画」ぐらいのタイトルつけたほうが
よかったんじゃないか……なんて思ったりもしました(笑)。

そして、ムナーリは日本にもよく来ていたようで
色鉛筆で書かれた作品のキャプションに
「クーピーペンシル」というのがありました。
これって、あのサクラクーピーペンシルだよね??
日本に来た時にみつけて気に入ったのかしら。
イタリア語のキャプションでは、mattita colorata(色鉛筆)とだけ。
きっと日本の人だけ、あああれか……なんて思えたかも。

ほんとにいろんな形の作品があって、もちろん見慣れた絵本の原画もたくさん。
とても楽しめました。

しかし、展覧会タイトルのデザインは、BRUNO のUとN、
そしてMUNARIのMとUがNが合体したようなデザイン。
だったら、カタカナのブルーノ・ムナーリも合体さればいいのに
(とはいえ、どうやって合体させようかな……)
なんて、しばし真剣に考えてしまった。

こんな?

みて「よかったー」「たのしかったー」というだけでなく、
ものすごくこちらの創作意欲が掻き立てられる展覧会でした。

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ブルーノ・ムナーリ 役に立たない機械を作った男
2018年11月17日(土)~2019年1月27日(日)
世田谷区立美術館 サイト