Small Works 2024

春というか初夏のような日があったかと思えば、
また寒い。

ちいさなリトグラフ作品をご覧いただく機会ができました。
この数年、毎年参加させていただいている
ギャルリ・シェーヌでの「Small Works 2024」展です。

「日常にアートを届けたい」をテーマとした小品グループ展で、
わたしは3点出品いたします。(本人は在廊いたしませんが)

お近くにお出かけありましたら、ぜひご高覧ください。
バラエティ豊かな作品の数々、お楽しみいただけること間違いなし!
どうぞよろしくお願いいたします。

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(c)Naomi Hashimoto - fantafonte Lithograph

Small Works 2024
会期 2月26日(月)−3月9日(土)※3日(日)は休廊
時間 10:00−18:00(最終日は17:00まで)
会場 ギャルリ・シェーヌ 》ウェブサイト
東京都中央区銀座6−13−4 銀座S2ビル1階

おまけ画像1・とある1版目はこんなかんじでした。
おまけ画像2・😭🙏(刷り終わったところでよかった!)

2月の作品展ふたつ。

まだまだ、というか、ますます Covid-19な日々が続いていますが、
2月に2つの作品展に参加します。

この1年以上、自分自身がすっかり引きこもって暮らしているのに
ぜひお出かけください!とお声がけするのは心苦しくもありますが
もし近くにお出かけの用事などありましたら、ぜひご覧いただければ幸いです。
どちらも、とても見応えのある作品展となっているはずです。

★版画ふたり展「春の隣のねこ」

2022年2月1日(火)−28日(月)
コピス吉祥寺4階アートギャラリー(連絡通路)地図
10:00−21:00 *コピス吉祥寺の営業時間による
*現在、4階のA館が全面改装中につき、会場の「連絡通路」はB館側(石井スポーツ)からしか行けません。ご不便おかけしますが、ご注意ください。 

ひとつめは、「吉祥寺ねこ祭り」という恒例イベントのひとつとして開催される、ねこをテーマとした版画展です。
友人でもある銅版画家・唐津のり子さんとご一緒します。
展覧会タイトル「春の隣のねこ」は、唐津さんが、俳句の季語に「春隣」って
いうのがあるのよ、と教えてくださったことから決まりました。

出展作品は、ふだんの作品とはちょっと違って、リトグラフを一版刷ったあとに油性絵具でモノプリントを重ねています。これまでやったことのなかった技法ですが、失敗を繰り返しながらも、いつもとはまた違った楽しさを感じました。

タイトル「You Shall Not Move! 動いてはならぬ!」

吉祥寺は中高時代を過ごした街でもあり、すっかり様変わりした今でも
(本展会場のコピス吉祥寺も、そのころは伊勢丹だったし)
やはり親しみを感じています。

★ Small Works 2022

2022年2月7日(月)−19日(土)
ギャルリ・シェーヌ
10:00−18:00(最終日17:00)地図

10年以上まえに、1年おきに個展をしていた銀座のガレリア・グラフィカbisが、昨春ギャルリ・シェーヌとなって生まれ変わりました。

本展は、こちらで昨年今年に展示をする作家たち16名による「日常にアートを届けたい」がテーマの小品展です。
わたしも今年の12月にここで個展をすることになっていて、本展に出品するリトグラフは、その予告編のようなつもりで作りました。

まだタイトル決めてないので書き込んでいない笑

以上、ふたつの展覧会。どうぞよろしくお願い申し上げます!

カルメラさんとちいさな不寛容

ふだんはリトグラフの作品を作っていますが、10年ぐらい前までしばらく銅版画で物語のようなものを作って、それを手製本に綴じることもしていました。
主人公はすべてカルメラさんというひとで、8作ぐらいシリーズ化していました。
唐突ではありますが、そのころの作品をひとつご紹介します。

「カルメラさんとちいさな不寛容」

1. 
《清らかな生活》
ある丘のうえにカルメラさんというひとが、暮らしていました。カルメラさんは、まいにち朝はやくから起きて、ちいさな家のすみずみまでしっかりはたきをかけて掃除をするのが好きな、一人暮らしの主婦でした。そして、ドーナッツをつくったり、庭でキャベツを育てたり、読書をして日々をすごしていました。ときどき誰かが訪ねてくる時もありましたが、ひとり静かにすごすことをとても大切に思っていたのです。それは、ねこのガブリエルと一緒に暮らすようになっても、変わることはありませんでした。

2.
≪おだやかな日々≫
ねこのガブリエルは、しばらく前のある日、おなかをすかせてカルメラさんの家にやってきました。ずっとねこを飼いたいと思っていたカルメラさんがあれこれと世話を焼き、今ではすっかり懐いています。とはいえ、ガブリエルにもひとりの時間がたくさんありました。ときどきは、はぐれてしまった遠い世界の両親のことを思い出します。いつか迎えてきてくれるのではないだろうか、そんなことを思ったりしながら、大好物のドーナッツを食べたりコーヒーを飲んでごろごろしては、日々を過ごしていました。

3.
≪ひみつの扉≫
カルメラさんの家のかべには、いくつかひみつの扉がありました。ねずみの穴よりすこし大きく、どれもカルメラさんがきれいなカーテンをつけています。そしてその扉の向こう、かべの裏側には、また別の世界がありました。その世界に住む存在がいるのです。カルメラさんはドーナッツをつくると、かべの向こうにもその香りが漂うようにしてあげます。もしお腹がすいていたら食べにくればいいし、欲しければコーヒーもだしてあげるようにしていました。毎週金曜日には、こどものリャマのアントニオがキャベツやドーナッツの外側を食べにやってくるし、いつもスケートボードにのっているクールなおんなの子バンビーナも、よく姿を見せました。

4.
≪現れたよびかけ≫
カルメラさんお手製のポンポンえりまきをしたねこのガブリエルは、バンビーナにとって、ふしぎな存在でした。カルメラさんから、ねこを飼うことにしたと紹介してもらった時から、ちょっと変わったねこだと思っていたものの、とてもうれしそうなカルメラさんをみて、それは言えませんでした。しかし、きょうのバンビーナは何かを企んでいました。

5.
≪掠われたガブリエル≫
バンビーナは、ねこのガブリエルをひみつの扉から広がるかべの裏の世界へ、おびき寄せることに決めました。大好物のドーナッツに紐をつけた仕掛けをつくると、ガブリエルはかんたんにひっかかりました。読書をしていたカルメラさんが気づくことはありませんでした。何が起きたのかまったくわからないガブリエルは、仕掛け罠とも気づかず、ただドーナッツをしっかり握りしめたまま、小さなひみつの扉にぎゅうぎゅうと吸い込まれていってしまいました。

6.
≪真実のとき≫
扉の向こうは、真っ暗でした。しばらくすると目が慣れて、そこにはバンビーナとリャマのアントニオがいるとわかり、ガブリエルはすこしホッとしました。そしてバンビーナが、みんなで楽しいところに行こうよ、とウソをついて、自分のスケートボードにガブリエルを乗せてやりました。なにもわからないガブリエルは、うれしくなりました。前からこのスケートボードに乗ってみたかったのです。その時でした。バンビーナとリャマのアントニオが、いきなりガブリエルのねこ頭巾をひっぱりました。

7.
≪深い悲しみ≫
その頃、カルメラさんはようやくガブリエルがいなくなったことに気がつきました。家の中じゅう、そして庭のキャベツ畑の、キャベツひとつひとつの中までさがしたけれど、みつかりません。どこへ行ってしまったのだろう、紐でつないでおけばよかったのかもしれない、いろんなことが頭をよぎりました。ずっと一人が好きで、ずっと一人暮らしのカルメラさんですが、なんだかとても悲しくなってしまいました。

8.
≪お互いのため意味がない≫
バンビーナには、わかっていたのです。ガブリエルは、宇宙人のこどもでした。両親と宇宙船にいたのに、この街へうっかり落っこちてしまったのです。お腹をすかせてカルメラさんの家にあるドーナッツを食べているところを見つかり、それ以来カルメラさんに「ねこ」として飼われてきました。かわいいねこ頭巾も作ってもらいました。それがバンビーナには気に入りませんでした。ガブリエルは、カルメラさんの求めるねこではないし、カルメラさんは、ガブリエルの求める両親ではありません。なのに、カルメラさんちのねことして暮らすのは間違っている―――バンビーナはそう告げました。

9.
≪自分のための人への思いやりは正しいことではない≫
バンビーナによれば、カルメラさんがガブリエルによせる愛情は、ねこをかわいがりたいという気持ちの代替えであり、本当にガブリエルが求めるカタチを与えているものではない、というのです。そして、ガブリエルもまた、ほんとうなら宇宙船に戻って両親と暮らし、いろんな星を攻撃し征服することが、本当のよろこびのはずで、ドーナッツをもらってなでなでしてもらうことが、幸せではないはずなのです。相手に何かをしてあげたいという自分の欲求、それは自分のためのものでしかなく、また一方で、現実から目を背け代替えのものに甘受する。それらは間違っているのだ、とバンビーナは力説しました。

10.
≪悲しみはずっとつづく≫
ガブリエルはわからなくなりました。宇宙船の両親に会いたい気持ちは確かにありました。そして、もし自分がねこではなく、宇宙人とわかったとき、カルメラさんはこれまでと同じようにドーナッツをくれるのでしょうか。もしくれなかったら、攻撃すればいいのでしょうか。そもそもガブリエルは、ねこらしく過ごしてきたのでしょうか?―――自信はまったくありませんでした。どうしたらよいかもわかりませんでした。ただ、カルメラさんのところに戻って、一緒にドーナッツを食べたいと思いました。それが問題の解決ではないと、それだけはガブリエルにもわかっていました。

11.
≪理解しないことと寛容であること≫
ガブリエルが帰ってきて、カルメラさんはおお喜びでした。本当のねこではないと、気づきたくはないのかもしれません。そしてガブリエルもまた、うれしく思っているようでした。本当に再会をのぞむ家族ではないのにです。すこし高揚したこの場の空気をやさしさと受け止めることは、バンビーナにとって居心地が悪いものでしたが、その場を立ち去るには、ドーナッツのあまい香りが強すぎました。うれしそうな二人の姿を見て、バンビーナにはかすかな怒りすらこみあげましたが、いそいでそれを、もらったドーナッツと一緒に飲み込みました。バンビーナには、わかりませんでした。わかりたくもありませんでした。

* * *

さて。
ここからちゃっかりとした情報。
最近よくみるTシャツなどグッズを作ってくれるサイトで、Tシャツセールをしているというので、なにか作ってみたかったのです。
ということで、このなかの1枚をつかってみました。
よかったら見てみてください →こちらから😀