秋のMOWリトグラフまつり、しました。

前回投稿のつづきです。というより、いよいよ本題。

ワークショップをしたのは、春日部にある Art & Craft studio T-BOX。平島鉄也さんという金工作家のかたの工房であり、お教室であるところ。
そこで毎年、秋の週末にお教室の作品展や、クラフト系作家さんたちの出店など盛りだくさんな「858−市」が開かれていて、私はそのうちの一日だけ、リトグラフ・ワークショップとして参加しました。
その前日には、銅版画作家のヒルネ版画工房かずみさんが紙版画ワークショップをなさっていて、柿さん持ち込みのプレス機をちゃっかりそのままお借りしてのリトグラフでした。

店先(といっても、机二つ並べたオープンなところ)はまずこんな感じ。見本作品をならべてみました。
11月下旬だったのものあり、ただ「リトグラフを作ろう!」よりも「クリスマスカードを作ろう!」ってかんじに。もちろん「MOWの紙で」も忘れずアピール笑。

お借りしてのプレス機まわりもこのように。見えにくいけど、くまちゃんのはちみつボトルは、アラビアゴム(ピュアと薬品酸度高めのと)入れています。

制作に参加してくださった方たちは、まさに老若男女の小さいお子さんから元気な先輩方まで。
みなさんの作ってるところや出来上がった作品を、全員ぶん写真にとってなかったのが大変悔やまれるけれど、なんとか忘れずに撮影したのを少しご紹介します。

まずは、ちいさい女の子とそのお母さん。
お母さんは、MOWリトグラフでツリーを、女の子はアルミ版に自由に描いてもらいました。
ツリーのほうは、女の子が星型消しゴムスタンプをおしたり、お絵かきいれたり素敵な母娘合作。
リトグラフのほうは、インクを盛るローラーを転がしたり、プレス機のハンドルも回したりと、ほんとうに頑張り屋さんでした。そして、お父さんもいれて、家族みんなのぶん3枚をすり上げました。

ちいさいお子さんに限らず、私がところどころ手伝いはするものの、ここだけは必ず!と参加者ご自身の手でやっていただいたのが、刷り上がった作品をめくるところ。みんな「わぁああ☆」ってなるの、こちらも大変うれしいかぎり。

こちらは鉄道少年。画力があるので、アルミ版にしっかり描いてもらいました。右側は、描画しおわってからアラビアゴムをスポンジにつけてポンポンと塗っているところ。まず最初は、絵をこすらないように叩くように塗るのです。それもしっかりと注意しながらやってくれました。
彼も、インクのせ、プレス機とぜんぶ自分でがんばってくれて3枚ほど刷ってくれました。かっこいい絵!

そして、猫だいすきマダムによる季節感たっぷりの作品。秋らしいー。そして、すごくふわっふわの猫ちゃんたちの写真をみせていただき、もちろん、わたしもうちの猫ちゃんたちの写真を存分に見せびらかしたのであった笑。

そしてこちらは、MOWリトグラフの良さを全部ひきだしてくれた作品。
版だけをみると、クレヨンで、短いタテ線と点てん、ちいさい四角を描いてるだけだけど、それを切り抜いて、またコンポジションも楽しめるのでした。
それに、手袋の手首のゴム編みに相当するところにある横線は、もともとMOWの紙の折り目の部分、そこをまたうまく使って表現にとりいれてくれました。うまいっ。

ひょんな思いつきから始めてみた、MOWリトグラフだけど、みなさんがこうやって素敵な作品も作り出して、そしてなにより楽しんでいってくださったというのは、私もほんとうに嬉しかったし、楽しかったです!

こういう機会をくださった、平島さんはじめアトリエのみなさま、参加してくださった皆さん、そしてプレス機をかしてくれただけでなく、当日もしっかりサポートしてくれた柿﨑さん、本当にありがとうございました!

おかげで、やっぱりリトグラフはたのしいなー!と思えた秋の一日でありました。

 

 

秋のMOWリトグラフまつり、とは。

ほどよくひんやりした秋の一日、春日部市にある「Art & Craft studio T-BOX」さんにて週末催されてた「造形教室展 と 858-市」にお邪魔し、リトグラフのワークショップをしてきました。
備忘録を兼ねて、その様子をまとめておこうかと。

いつものリトグラフの制作風景は、いろいろな工程があり、さらにその各工程のあいだの「待つ時間」がやたらと多くあります。もちろん、そうしなければ出来ない表現があるからなのだけど、でも今回のようなワークショップでは、そこまでしていられません。

とにかく省けるだけ工程を省いて、いきなり20分ぐらいでできちゃうやつにしてみました。

リトグラフってなに?って方に体験してもらうのも大事な目的の一つでもありますが、いっそここまで工程縮めてみるなら、もっと気軽に楽しんでもらおう、もっと遊んでしまおう!ということで、紙を版材にしたリトグラフを考えました。

 

見本というか、試作品いろいろ。

そもそも紙にリトグラフをすると言うのは、夏の終わり頃、やらなきゃいけない用事からの現実逃避(笑)として、なぜかお菓子の空き箱(レヴァン食べてた)にリトの描画材料でいたずら書きをして、簡単に製版して刷ってみたことに始まります。

そのときは「うまくいった!」というにはほど遠く、だけど、もう少しやり方を工夫したら意外に面白いかも……とぼんやり思っていました。そんなころにワークショップ参加のお誘いをいただき、「お菓子の箱でリトグラフしよう!」みたいなのなら工作みたいで楽しいかもと思い、お菓子の紙箱さがしが始まったのです。

それなりに吸水性はあるけど水にふやけず、インクローラーでコロコロ刷るから強度もいる、とはいえしっかりめのマット紙ならいいかといえば、そうでもない。お友達からも空き箱をあれこれ恵んでももらい、いつもなら資源回収にすぐだす空き箱もいちいち「使えるかも?」と溜め込み、使えそうな紙の目処がたってきました。

 

それが、アイスのMOWの外箱の紙だったのですっ。

 

外箱を取られて、本体のみなさんは冷凍庫で休憩中。

 

工程を短くしすぎなため、絵をかくというより、ぐりぐりといたずら書きしたら、あとは(本来のリトなら御法度の)地汚れが、味のあるマチエールになり、また紙なので簡単に切り抜ける──そんなマチエールときりぬく形で楽しめそうな感じになってきました。

だからもちろん、ちゃんと描画をしたいひとたち用に、いつものアルミ版との二本立てにしました。こちらも工程をかなりすっ飛ばしているので、せいぜい3枚ぐらいしか刷れないけれど、それもまたよし。

 

これはチョコ味。もちろん、味はリトグラフ的にまったく関係ないです。

 

そんなわけで、題して「秋のMOWリトグラフまつり」開催!となったのでした。いや、ほんとはこのお題は後からつけましたが笑。

なんだか長くなってきてしまったので、肝心のワークショップ内容は、次回に続けることにします。

 

 

 

 

 

 

「世界を変えた書物」で作るカルトン

先月、上野の森美術館で開催されていた話題の「世界を変えた書物」展
なんとかギリギリ見に行くことができました。

科学系の本が中心ながら、やはり本という形、そして印刷をみるのはとても楽しい。
なにしろ、当時はまだ、印刷と版画ってそんなに離れてない。

私はよく、版画とくにリトグラフの技法を聞かれたときに、布にたとえてお答えすることがあります。
鶴の恩返しみたいなぱったんぱったん機織りも、工場の機械でがっしゃんがっしゃん大量に織るのも、タテ糸にヨコ糸通している原理はかわりない、版画と印刷も(とりわけリトグラフとオフセット印刷は)そんなかんじなんですよー、というふうに。
いまも手織り作業が生き続けているように、プレス機をぐるぐる回して一枚ずつ版画も生き続けています。

話戻って、この展覧会。
美しい図版も、銅版画などで一枚一枚刷られたもの、本が書かれた内容はもちろん、どれほどものとしても貴重で価値あるものだったのでしょう。
とりわけピラネージの銅版画が本になったのは、眼福としかいいようがない。

そして、グッズもいろいろあって、タブロイドサイズのプログラムが2種類ありました。
こういう紙モノには目がない私。もちろん手に取っているうちに、
・・・これで、カルトンつくれるんじゃない??と思ったのでした。

そうとなれば、予備も含めて多めに買い込んで(失敗したらいかんので笑)、作業あるのみ。

道具はいつものこんな感じです。

厚紙はいぜん作ったカルトン(数年前の個展に、イタリアの新聞紙や和紙にリトグラフを刷って、作りました)の残りがあったのでそれを使いました。

当時は、こんな感じで作っていたのでした。20個以上つくったかな。

さて、今回のは。

この、でっかいノミちゃん(A・ロバート・フック「微細物誌(ミクログラフィア)」1665年)のページをみてたら、もうこの出来上がりが脳内にありました。

表側は、ちょうど本の表紙、背表紙そのものがサイズ的にもぴったり(コロンナ「ポリフィルス狂恋夢」1499年)。

ちょうどA4サイズの紙がはさめます。実用的なのだ。

会場のグッズもいろんなもの(Tシャツとか傘とか風呂敷とか)があったし、なかにはデューラーの図を使ったA4ファイルもあったけど、A4見開きクリアファイルで、こういう本の表がわ、そして中の見開きそのものを使ったやつがあったら、ぜったい買ったのに!

とはいえ、久しぶりにカルトン作りして、細かいところは不具合あれど、自分で使うんだから全然問題なし。いいのが作れました。